種子のまわりの網目状の赤い皮の部分がメース、ナツメグはその赤い皮の内側の黒い種子を割った中の部分(「仁」)です。ですから当然2つはよく似た香味で、甘い刺激性の香りと、まろやかなほろ苦さをもっています。ただメースのほうが、よりおだやかで上品な風味といえます。ナツメグとメースも古くから西欧で珍重されてきたスパイスで、17世紀初頭から150年間はオランダが独占していましたが、当初この2つが同じ木の実とは知らなかった本国政府が「ナツメグの樹を全部切って代わりに値のはるメースを植えるように」と指示したという、笑い話のようなエピソードも残っています。
ニクズク科の雌雄異株の熱帯性常緑樹。10〜20mの巨木で、1年に約4千個収穫できるが、成長は遅く実をつけ始めるまでに7年くらいかかる。
メースの部分をはぎとって、天日乾燥させ、種子もカラカラと音がするくらいに乾燥させてから割ってナツメグを取り出す。
クローブと同じく、スパイスの宝庫ともいわれるモルッカ諸島原産。